A Sword Master Childhood Friend Power Harassed Me Harshly, So I Broke Off Our Relationship And Make A Fresh Start At The Frontier As A Magic Swordsman.

Chapter 50: 50 39: Disturbing report.txt


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「ふぉ、ふぉ、ふぉ、二人ともまるでフロリーナに叱られてる時を彷彿とさせおるな。今のノエリア嬢は私の一番弟子だったフロリーナによく似てきておるわ」

ライナスが、ノエリアに叱られた二人の姿を見て笑っていた。

「ライナス様、そんな話はどうでもよろしいのです。それよりも、今はフリック様に魔法剣のことをお聞きになられた方がよろしいのではないのですか?」

「おお、そうであったな。ロイド殿とガウェインが騒いでおって忘れるところであった」

ライナスが自分の椅子を持つと、俺の隣にまで来て座った。

「で、魔法剣のことだが……。ノエリア嬢から聞いた話だと、剣に魔法効果を付与してるらしいが本当なのか?」

興味津々といった感じで、ライナスは身を乗り出し、魔法剣のことを聞いてきた。

「は、はぁ。魔獣ケルベロスの毛皮には魔法を低減する効果がありましたので、剣で斬ったあとに魔法の効果を追加できないかと思いまして……やってみたんですが」

「ほぉ、斬ったあとに発動させておるのか……」

「ええ、内部に刀身が食い込んだ時点で魔法が発動するようにって感じで調整してます」

「なるほど……それなら、魔法の効果を低減されることなく全て相手に叩き込めるというわけか……」

ライナスは、ノエリアと同じように魔法に関する話になると目を子供のようにキラキラとさせて聞き入っていた。

「固定化の呪文は『燃え盛る炎よ、わが剣に宿りて敵を焼き尽くせ。火炎剣(フレイムソード)』らしいが、他の魔法でも応用できそうなのかね?」

「まだ試してないですが、攻撃魔法であれば効果を乗せることはできるかなと思います」

「ほうほう、いろんな属性の攻撃魔法を乗せられれば、弱点属性でさらに威力を出せるという感じだな」

魔法剣に関しては俺が作り出した魔法だが、まだよく分からないことがあった。

現状、確認したのは攻撃魔法を刀身にまとわせることでダメージを追加させる効果のみだ。

「なるほど、なるほど……剣に魔法効果を乗せるなどという発想は魔術師からは出てこないものだからのぅ。これは大発見かもしれん」

ライナスは俺から魔法剣の話を聞くと顎に手を当てて、考え込み始めた。

「ライナス様、ガウェイン師匠の身体強化魔法とフリック様の魔法剣が合わさればかなりの威力になります。これは魔法の革命的発見かもしれません。是非、フリック様とともに研究を続けていきたいと思っております」

ノエリアも魔法に関することになると、饒舌になってライナスに語りかけていた。

だが、そんな和やかな食事会の空気を一変させることが起きた。

「た、大変ですっ!!」

血相を変えた一人の騎士が、食事の席に駆け込んできたのだ。

「なにごとだ? 今は客人の歓待中だぞ!」

「はっ! すみません! ですが、緊急事態ですっ!! 魔境の森に潜っていた冒険者からアビスウォーカーらしき個体を見かけたとの報告が冒険者ギルドより上がって参りました!」

「なんだと!?」

ロイドが顔色を変えて席から立ち上がっていた。

二〇年間、姿を見せていなかったアビスウォーカーが魔境の森で発見されたとの騎士の報告に全員が息を呑んだ。

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「その報告は本当なのか? 見間違いではないのか?」

騎士隊長を務めるマイスも騎士の報告を信じられないといった表情で聞き返していた。

「報告した冒険者は先の大襲来をくぐり抜けたベテラン冒険者なので、見間違えることはなさそうだとのギルドマスター殿からの報告です!」

「マイス、すぐに騎士たちを集めよ! 冒険者たちには街の警護依頼を出せ! 住民たちには申し訳ないが外出は安全が確認できるまで禁止することとする」

ロイドが即座に騎士団の動員を決め、ユグハノーツの街の封鎖を指示した。

二〇年前に起きた大襲来では、初期の対応をおざなりにしたせいで、王国中にアビスウォーカーが溢れ出した。そのことを教訓にしているようだ。

「ロイド殿、私も報告の真偽を確認するのに同行させてくれ。本当にアビスウォーカーなら王に報告を上げねばならん」

「分かった。ライナス師にも同行してもらうことにしよう。わしの鎧を持て! すぐに魔境の森へ行く。フリック、すまん。このような事態だから歓待はここまでとさせてもらう」

慌ただしくなり始めた室内で、ロイドが申し訳なさそうにそう言うと部屋から出ていこうとした。

このまま、大襲来の再発となったらこのユグハノーツの街が最初に被害を受ける街になってしまうだろう。

今の俺ならアビスウォーカーを防げるかもしれない。ここは手伝いを申し出るしかない。

「辺境伯様、俺も加えてください!」

アビスウォーカーが復活したかもしれないと聞いた俺は、居ても立っても居られずにすぐにロイドに手伝いを申し出ていた。

一瞬、手伝いを申し出た俺の顔を見たロイドが考え込んでいた。

「よかろう。ついてこい! すぐに出立する」

「はい、俺がディモルで先行します」

「あの翼竜か。よかろう、先に行って様子を探ってくれるとありがたい。フリックに目撃地点を教えろ」

ロイドがそう指示を出すと、報告に来た騎士が俺にアビスウォーカーの姿を見た地点を描いた地図を見せてくれた。

「わ、わたくしも同行いたします! フリック様、すぐに支度をしてまいりますのでいましばらくお待ちください。本当にすぐに着替えて参ります。スザーナ! 着替えを手伝って!」

「はい、すぐにお持ちします」

「お、おい! ノエリア! わしは同行を認めんぞ! おい! 聞いておるのか」

メイドのスザーナを連れて自室に戻ろうとしてるノエリアが、ロイドの制止を無視していた。

「ああなったら、ノエリア様は言うことを聞きませんからなぁ。フリック殿、ノエリア様の護衛もお願いします」

着替えに戻るノエリアを見送ったマイスが、俺に彼女の護衛も頼んできた。

「ぐぅう! フリック! 緊急事態ゆえにノエリアのことはお前に任せる。緊急事態だ・か・ら任せるだけだぞ!」

「は、はい、分かりました。ディモルもいるしノエリアには危険なことはさせませんのでご安心を」

「よし、わしもすぐに騎士団を引き連れていく」

それだけ言い残すと、ロイドたちは部屋から出ていった。

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