「い、いや、でもですね……エルバさんだと他人行儀ですし、エルバちゃんっていうのは、ちょっと……」
するとエルバが頬をさらに引きつらせた。
「当たり前よ!エルバちゃんなんて言われてたまるもんですか!」
「でもエルバさんっていうのも……年上ですし……」
するとエルバが軽く舌打ちをした。
「だから判ってるっていってるじゃないの!他に言い方がないことぐらいね!ただ判っていたって腹が立つもんは立つのよ!ただそれだけよ!」
するとアジオが肩をすくめながら言ったのだった。
「ま、そういうわけで僕の方が年上なんでね。メルバに習って呼び捨てにさせてもらうよ」
するとエルバが目を剥き出すようにして怒った。
「ちょっと待ちなさいよ!今あんた年上だから呼び捨てにするって言ったわよね?だったらメルバに対してはどうなのよ?今あんた、確かにメルバって呼び捨てにしたわよ?あんたは確かにわたしよりかは年上だろうけど、どうみたってメルバよりは年下じゃないのよ。なのに何故メルバを呼び捨てに出来るのよ!」
すると問われたアジオではなく、話題に上がったメルバが落ち着いた声音でもって両者の間に割って入った。
「エルバよ。そう何度もしつこくわたしを呼び捨てにしたのは、わざとなのかな?」
メルバの苦笑交じりの問いかけに、エルバがフンと鼻で息をならして傲然と言い放った。
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「当然じゃないの!あんたには隙あらば嫌みの十や百は言ってやりたいんだからね!」
エルバの理不尽な言い分に、メルバが大きく肩をすくめた。
「また随分と嫌われたものだな。しかし……わたしのどこがそんなに嫌なのかな?そう嫌われるような真似をした憶えもないのだが……」
するとエルバが、先程よりも遙かに大きな音でフンと鼻息を鳴らした。
「そんなの知らないわよ!ただひたすらにあんたがわたしの癇に障るのよ!」
するとさすがにこれ以上もめ事を起こしたくないシェスターが仲裁に入った。
「まあ待てエルバ嬢。そのようなくだらないことで喧嘩をしている時ではない。わたしは……」
つい口が滑ったシェスターの発言を、エルバが大声で遮った。
「くだらないってなによ!上下関係はハッキリさせるべきなのよ!でないと禍根を残すわ!そうじゃなくって!?」
するとアジオが、からかうような物言いで混ぜっ返した。
「そうだね。それじゃあ分かり易く年齢順にしようか。その方が一般的だしね。てことでどうかな?メルバさん?」
するとメルバが皮肉な笑みを浮かべて言ったのだった。
「わたしは構わないが……エルバはどうなのかな?」
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