「ああ、絶対の自信があるって言っていたんだよ」
オルテスが口をへの字に曲げながら言った。
シェスターは眉間の皺をそのままに言った。
「そうか……だが実際はそうではなかったんだな?」
鋭く問いかけるシェスターに、オルテスが重々しくうなずいた。
「ああ、絶対に大丈夫どころか、かなりヤバかったぜ。イオーヌたちが助けに来てくれなかったらどうなっていたのか……」
「どんな状況だったのだ?」
するとオルテスに変わり、イオーヌが説明をしはじめた。
「怪物の残滓が残っていたのよ」
「残滓?」
「ええ、さっきわたしは貴方に問われて、怪物には会ったことがないって言ったでしょ?それは本当なのよ。わたしたちがあの地下水路で見たのは、あくまで怪物本体ではなくて、その残滓だったのよ」
「その残滓が彼らを襲ったと?」
「ええ、そうよ」
するとここでシェスターの脳裏にある疑問が浮かんでいた。
「……何故だ?ガイウス君たちが襲われてから、アルスたちが襲われるまでにはだいぶ時が経っている。ならばその間、水路に保守点検等で他の人間も水路の中に入っているはずだ。だがその彼らが襲われた等という話は聞いていないぞ?」
するとイオーヌが軽く高笑いした。
「それはそうよ。普通の人間を襲うようにはなっていないもの」
「どういうことだ?」
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「あら?判らないの?」
イオーヌが挑戦的な笑みをシェスターへと送った。
だがシェスターはいぶかしむだけで答えは出て来なかった。
「いや、判らんな。勿体つけずに教えてくれないか?」
するとイオーヌが満足げにうなずいた。
「いいわ。それなら教えてあげる」
イオーヌは可愛らしくウインクをすると、楽しそうな声音で告げるのであった。
「彼らがガイウス・シュナイダーの関係者だからよ」
するとシェスターの表情がさらに険しくなった。
「ちょっと待ってくれ!関係者もなにもアルス、オルテスの両名共、ガイウス君とはまったく面識がないはずだぞ!?」
シェスターはそう言ってアルスたちを見た。
するとアルスが、オルテスと目を見合わせた後、シェスターへと向き直って口を開いた。
「はい、わたしたちはガイウス・シュナイダー君とは面識がありません」
するとすかさずシェスターが呼応した。
「そうだろう。そのはずだ。にもかかわらず関係者だと君は言うのか?」
シェスターはそこであらためてイオーヌを見た。
イオーヌは軽くうなずき、シェスターの疑問に答えたのだった。
「ええ、そうよ。だって貴方と彼らは近しい関係なんでしょ?」
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