「嫌いじゃないだって?何をかっこつけているんだお前は」
すかさずのカルラの突っ込みに、ガイウスが反論した。
「いや、だってまだ会ったばかりだよ?わかんないって」
「本当かね~?わたしには鼻の下が伸びているように見えるがね~?」
「伸びてないって。そんなことよりこの後どうするのさ?」
ガイウスが話を変えようとした。
だがカルラがそれを許さなかった。
「何を次の話題に行こうとしているのさ」
「だからまだ判らないって言っているだろ?しつこいな」
「しつこく聞くに決まっているだろ?何せ事は重大なんだからな」
カルラが先程までとは打って変わって真剣な表情となった。
ガイウスは驚き、言葉が出なかった。
すると傍らのシェスターがガイウスに代わってカルラに問いかけた。
「ガイウス君とイオーヌの関係性が今後重要となってくるとお考えですか?」
カルラが大きくうなずいた。
「ああ、わたしはそう思うね。どう考えてもカルビンはさして重要とは思えないからね」
「……カルビンは……あの男の役割はなんでしょうか?」
「ローエングリン教皇国にとっては重要人物だろう。だが我々にとってはそう重要ではないと思う」
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「所詮人の世の栄華に過ぎぬと?」
「そうだ。神であるルキフェルにとっては、どうということもない男だ」
「確かに。ですが、ルキフェルはカルビンと友誼を結んでおります」
「友誼とはいっても、ルキフェルはその正体を明かしてはいない。ならば、単なる駒の一つに過ぎないのではないか?」
「なるほど。ですが、駒というのならばイオーヌも駒の一つに過ぎないのでは?」
「そうだな。これまではルキフェルにとって駒の一つに過ぎなかったのだろう。だが……」
「今回は当てが外れた……ならば駒の一つとは言えなくなる。そういうことですか?」
「そうだ。ルキフェルにとってイオーヌは不確定要素になったのじゃないかと思ってな?」
シェスターは腕を組んで深く考え込んだ。
そして考えをまとめると、ゆっくりと静かに口を開いたのであった。
「しかし、神であるルキフェルならば、当然我々は今も見られているのではないですか?」
するとカルラが凶悪な表情となった。
「それはどうかな?」
「……見られていないと?」
「わからん。だが全てを見透かせているようで、そうでないとしたら……」
するとシェスターもまた凶悪な面相となって言ったのだった。
「もしかしてカルラ様は、我々がルキフェルを神だと恐れ過ぎていると仰るのですか?実のところルキフェルもそれ程の力を有しているわけではないと?……」
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