「どうだい?エルはいたのかい?」
しけた顔をして部屋に入ってきたガイウスに対し、カルラがからかうように言った。
するとガイウスは、顔をしかめて言ったのだった。
「いないよ。ていうか姿が変わっているんだったら、わかるわけないよ」
ガイウスの言い分に対し、カルラが苦笑気味に言った。
「だからわたしは、はじめからそう言っているだろう?」
「そうだけどさあ、つい勢い余って探しにいっちゃったんだよねぇ~」
「ふむ、だがそれで気が済んだのなら、まあいいさ」
するとそこでガイウスが、グレンのことを思い出した。
「あ~そういえば、さっきグレンが言ってたんだけど、棺の点滅が早くなっているらしいよ?」
カルラは片眉を跳ね上げた。
「ほう……ではいよいよということかな?」
ガイウスは肩をすくめた。
「かもしれないし、そうでないかもしれない。こればっかりはわからないよ」
「そうだな。だが色々と変化をしているということは、復活の可能性が高いだろう。備えて置くに越したことはないさ」
「だけどさあ、本当に復活するのかなあ?そもそもなんで今なんだ?」
するとカルラが苦笑交じりに言ったのだった。
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「決まっているだろう。お前に会うためさ」
ガイウスはキョトンとした表情となった。
「へ?……俺?……」
カルラはあらためて大きなため息を吐くと、呆れた表情を浮かべて言ったのだった。
「お前、特異点だろうが」
ガイウスはようやく自らの特性を思い出したのか、納得の表情となったのだった。
「ああ、そういうことか……なるほど。つくづく厄介な身体だな……」
「まさか、忘れていたとはねぇ」
またもカルラが呆れた顔で言った。
ガイウスは口をとがらせて言った。
「そんなこと言われても、だってしょうがないじゃないか。自分の特質とはいえ、俺には自覚があるわけじゃないし。回りが見て、そう感じるって程度のことなんだからさ」
「なにを言ってんだい。自分の特質くらい、しっかり覚えておきな」
カルラはそう言うと、静かにゆっくりと腰を上げた。
「わたしは念のため棺を見に行くから、お前はしっかり解読に本腰を入れるんだよ」
そしておもむろに踵を返すや、カルラは部屋を出ていったのであった。
残されたガイウスは一人、またも膨大な資料群と対峙するのであった。
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