「確かにエナジードレインが効かないのなら、捉えるのは容易なことではないな」
イリスはそう言うと、肩をすぼめた。
「そういうことだ。だから不思議なのだよ。何故ルキフェルが千年竜のコピーを作ることが出来たのかがな」
「わたくしには無理でも、奴なら出来ることがあるのだろうよ」
イリスが吐き捨てるように言った。
アスタロトはうなずき、さらに問いかけた。
「その能力に心当たりはあるか?」
するとイリスが即座に否定した。
「ない」
「そうか……だがもしもそれがわかれば、ルキフェルと対峙した際、有利になると思うのだがな」
「ふむ……奴の強さの秘密に直結するかもしれないということか?」
「そうだ。ルキフェルにあってイリスにない能力がわかれば、打開策が見つかるかもしれないからな」
「……だが、思いつかんな……」
「そうか。イリスは以前、ルキフェルと実際に戦ったことは?」
するとイリスが据えたような目をして答えた。
「ある。軽くしてやられたわ」
吐き捨てるように言うイリスに、アスタロトが肩をすぼめた。
「ではその際、何か変わったことはしなかったか?」
だがすぐにイリスは首を横に振った。
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「さあな。特になかったと思うが」
「そうか……わかった。では仕方がないな」
アスタロトは残念そうに言った。
しかし、そこで顔を上げてイリスが捉えているドラゴンを見上げた。
「さて、そろそろそのドラゴンを放してあげないか?」
イリスは忘れていたとばかりの顔をした。
「おお、そうだな。もはやこの者に聞くべき事は他にないか?」
「ないよ。聞くべき事は全て聞いたから」
「そうか。では放してやるとしよう」
イリスはそう言うやエナジードレインを弱めた。
すると、途端にするするとドラゴンはイリスの手をすり抜けるように落ちていった。
そしてゆっくりと巨体を揺らしながらマグマの中へと墜ちていったのだった。
イリスはそれを落ち着いた様子で眺めた。
「……うん?長いことエナジードレインをし過ぎたか?上がってこないぞ?」
イリスは少しだけ心配そうな素振りを見せた。
だが次の瞬間、先程のドラゴンが浮かび上がってきた。
アスタロトもそれを確認し、言ったのだった。
「どうやら大丈夫そうだね。ああ、ちゃんと泳いでいる。もう心配ないね。しかしそれにしても君のエナジードレインは凄いものだね?」
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