「……何で俺も行かなきゃならないんだよ?……」
呆れ顔の案内係の男に、ガイウスがさも当然とばかりに言った。
「だって一人じゃ寂しいじゃないかよ」
案内係はさらに呆れた。
「そんなこと俺が知るかよ……一人で行けよ」
「いいじゃないか。付き合えよ」
「あのなあ……俺は今仕事中なんだよ」
「仕事?ここでただ座っているだけなのにか?」
「そうだよ。遺族が来れば遺体に案内したりするしな」
「ずいぶんと楽な仕事だな?」
「何とでも言え。とにかく俺はここから動けない。自分自身の死の真相が知りたければ、一人で探しに行けよ」
案内係の男に突き放されたガイウスは、腕を組んで考え込んだ。
「う~ん……ただなあ、ここが何処だかもわからないしなあ……」
「だからここは警察署だって言ったろ?」
「それはさっき聞いた。ただ、何処の警察署かわからないし」
「そんなの上に行って聞いてみろよ。地図くらい見せてくれるだろ」
すると再びガイウスが腕組みをした。
「でもさあ、突然死んだはずの俺が現れたら、みんな驚くんじゃないか?」
「……それはまあ、驚くだろうな」
「だろ?だからさ、お前も一緒に来てくれよ。んで、お前が説明してくれよ」
「俺が?……説明って言われてもな……」
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「いいだろう?そのくらい」
「いや、しかし……ここを離れるわけには……」
「ちょっとくらいいいだろう?ちょっと上に一緒に行って、誰か詳しい奴を紹介してくれるだけでいいからさ」
「詳しい奴って、何に対してだよ……」
ガイウスは右手で顎をさすりながら言った。
「ん~、俺の死の真相について詳しそうな奴かな?」
「いやだから、それはわかっていないってさっき言ったろ?」
「だとしてもさ、もっと詳しく知っている奴がいるかもしれないだろ?」
今度は案内係の男が腕を組んで考え込んだ。
「……まあ、担当した奴はいるかな?……」
「だろ?そいつに案内してくれよ。お前、案内係だろ?」
「いや、そういう案内はしてないって」
ガイウスは肩をすぼめた。
「まあいいじゃないか。俺の事件の担当者を探してくれよ。で、そいつに紹介してくれりゃいいからさ」
案内係の男は大きなため息を一つ吐いた。
「……わかったよ。じゃあ上に行くか……」
するとガイウスが、右手を挙げて男を制した。
「ちょっと待った」
「何だよ?」
するとガイウスがにやりと微笑んだ。
「なあに、まだお前の名前を聞いてなかったと思ってな?」
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