エルはゆっくりと歩き出すと、メノンティウスとの距離を徐々に詰めていった。
途中、ちらりとガイウスを見やると、急にそっけない口調で話しかけた。
「お前さん、さっきから何をぼーっとしておるのじゃ?ここはいいからお前さんはさっさと友達のところへ行ってやるがいい」
ガイウスはエルの言葉にはっと我に返ると、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「エル……すまない……」
「構わん。とっとと行け」
ガイウスは静かにうなずくと、エルに促されるままクラスメイトたちが囚われているドームに向かって猛スピードで飛び去っていった。
エルはその背を横目でちらりと眺めながら、どことなく嬉しそうに愚痴をこぼした。
「ふん。まったく世話のかかる奴じゃわ」
すると対するメノンティウスが、エルとは対照的に苦々しげな顔つきで吐き捨てるように言った。
「貴様、いつから人間の飼い猫に成り下がったのだ?」
するとエルは大口を開けて笑った。
そしてひとしきり笑い終えると、片眉を上げてメノンティウスをにらみつけた。
「それで挑発しておるつもりか?実につまらん。他にもっと気の利いたことは言えぬのか?」
「神の飼い猫である貴様が、何用があってこの下界におるのだ?」
「いちいち挑発してきおって、面倒な奴じゃな。じゃがまあいいじゃろう。わしは親切なのでな、答えてやらんでもない」
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エルはここで一拍置いて間を持たせ、幾分もったいぶってから言った。
「わしは千年竜に用があるのじゃよ」
するとメノンティウスはいぶかしげな表情を浮かべた。
「……千年竜だと?……そうか、あの六年前に突如エスタに現れたという、あの話か……だがそれがなぜガイウス・シュナイダーの側にいる理由になるのだ?」
「ガイウスの側にいるのは成り行きじゃ。それより、わしはお主こそが千年竜の飼い主ではないかと睨んだのじゃが……その様子を見るとどうもそうではないようだな」
「はっ!見当違いもはなはだしいな。あんな破壊しか生まぬ化け物など飼ったこともなければ、今後飼う予定もないわ!無論、わたしも破壊を好まぬではない。だが破壊だけでその後の創造があの化け物にはない。なんと無粋なけだものであることか!」
メノンティウスは吐き捨てるように言った。
「ふん。破壊と創造か。随分と文化的なことを言うではないか。ではお前が今ダロスでしていることは創造なのだと言いたい訳だな?」
「……どうやら盗み聞きしていたようだな?」
「なに、状況も判らずに飛び込むほど血気盛んではないのでな。お主とガイウスのやり取りは聞かせてもらっておったわ」
「まあそれはいい。それで、千年竜にどんな用があるというのだ?」
「ふふん♪そこまでは教えられんのう」
エルは鼻を鳴らして愉快そうに言った。
だが次の瞬間表情は引き締まり、睨みつけるような眼差しへと変わった。
「お主はどうなのじゃ?ガイウスをダロス王にすると言っておったようじゃが、そんなことをして一体どうするつもりなのじゃ?」
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