ガイウスは、デルキアの殺気立った様子に恐れおののいた。
「……ど、どうも申し訳ございませんでした……」
だがどんなにガイウスがへり下ろうと、デルキアの怒りの表情は変わらなかった。
そのためガイウスは身の縮まる思いであった。
すると、またも見かねたドーブが両者の間に割って入った。
「……デルキア様、ガイウスに悪気がなかったことはご承知置きかと存じます。なにとぞ寛大なお心でお許しくださいますようお願い申し上げます」
するとデルキアが、ギロリとドーブを睨みつけた。
「ほう、ドーブよ。お前は悪気が無ければ何をやってもいいと言うのか?」
ドーブが恐縮して返答した。
「……いえ、決してそのようなことは申してございません」
「ほう、ではどういう意味で言ったのだ?」
ドーブは言葉に詰まった。
「……は、それは……なにとぞ寛大なお心で、ご容赦くださいますよう……」
ドーブはそう言うのが精一杯であった。
デルキアは再びガイウスへと視線を移した。
「で、お前はわたしに、どういう詫びを入れるつもりなのだ?」
ガイウスは答えに窮した。
「……え、え〜と〜、そのう……」
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すると、デルキアの歯ぎしりの音が聞こえた。
ガイウスはまたも震え上がり、慌てて答えを紡ぎだそうと試みた。
「そ、そのう……どういうと言われましても……なかなかにそのう……」
ガイウスは言い淀んだ。……
するとデルキアが、目をカッと見開いた。
「ハッキリせんか‼︎」
デルキアの大音声に、ガイウスは完全に肝をつぶした。
「……す、すみません……」
ガイウスはそう言うのが精一杯であった。
するとデルキアが、鼻をフンと鳴らした。
「もうよい。これ以上言うたところで時間が遡るわけでもない。今回ばかりは許してやる!だが次に同じことをやってみろ。ただではすまんぞ!」
デルキアの突然の許しに、ガイウスが深々と首を垂れた。
「……あ、ありがとうございます……」
ドーブも喜び、お礼の言葉を述べた。
「……デルキア様、わたくしからも御礼を申し上げます。ご容赦いただき、まことにありがとうございます」
すると再びデルキアが鼻を鳴らした。
「大げさじゃな。だがまあよい。ところでわたしに何か聞きたいことがあるようだが、なんの話しだ?」
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