だがその時ガイウスが突然、何故かはたと首をひねった。
そして何事かを真剣な表情でもって考えはじめた。
サタンはその様子を、無言でただジッと見つめ続けた。
するとガイウスが、今度は首を反対方向へと向けた。
ガイウスはその後も何度か交互に首を横に倒し続けた後、おもむろに口を開いたのであった。
「……なんか、増えているっぽいんですけど……」
サタンはそれを予想していたのか、さして驚くこともなく言ったのだった。
「どれくらい増えたのだ?」
ガイウスはまたも考え込み、しばらくしてから口を開いた。
「……えーと、さらに倍ってところかな?」
「倍か。つまり目標地点のさらに奥に、まだあったということだな?」
ガイウスはうなずいた。
サタンは眉根を寄せた。
「やはりそうか」
ガイウスはサタンの言葉に驚きを見せた。
「わかってたのか?」
「ある程度はな」
「そうなのか。しかしそうだとすると、一体いくつくらいあるんだろうか?」
サタンは大きくかぶりを振った。
「それはわからぬ」
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サタンはそう言うと、あらためてガイウスの目を見て問いかけたのだった。
「何故我が、他にもっとあるであろうと予想していたかわかるか?」
ガイウスは大きく肩をすぼめた。
「さあ、そんなのわからないよ」
するとサタンが少し笑った。
「そうか、わからないか」
「ああ、わからない。それで、なんで予想できたの?」
サタンは、ガイウスの顔を真正面から見据えた。
「お前の中が、途轍もなく広大だからだ」
ガイウスは、一瞬意味がわからなかった。
そのためガイウスは、すかさず鸚鵡返しに問いかけたのだった。
「俺の中が広大?そうなの?」
サタンは口角を上げた。
「うむ。それも途轍もなくな。ここの広大さは、我がこれまで見てきたものとは比較にならんほどだ」
「……みんな、もっと小さいの?」
「ああ。数時間もあれば全体像が把握できる程度だ」
「……サタンの中も?」
「うむ。我の中は、これまでに見た全ての者よりも大きかった。だがそれでも、こことは到底比較できないレベルだ」
ガイウスは驚きを隠せず、ささやくような小声で呟くのであった。
「……そうなのか……なら青い滝の数が多いのは、ここが大きいからなんだろうか……」
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