「ほう、そのオーディーンとは、どれほどデカイのだ?」
デルキアが食い気味に問いかけた。
ガイウスは笑いながら答えた。
「そうだね、倍……もしかしたら、三倍くらいあるのかも……」
デルキアは驚きに、目を大きく丸くした。
「三倍だと?!それは本当か?!」
ガイウスは、少しだけ考えてから、改めて答えた。
「そうだね。たぶん三倍はあると思う。そもそもの都市の構造が違うからね」
「都市の構造?難しそうな話しだな。まあ良い。どう違うと言うのだ?」
「う〜ん。このアレキサンドリアは、境目がはっきりしているだろう?」
「境目?」
「そう。ほら、都市の外れが何処か、一目瞭然だろう?」
ガイウスは、アレキサンドリアの街外れを指差して言った。
デルキアはようやく意味を理解し、うなずいた。
「ああ、そういう事か。そうだな。はっきりしている。都市の外には何もないからな。まばらに一応家が建ってはいるが、それは明らかに都市の外だ」
「そう。つまり、ここからがアレキサンドリアという境界線がはっきりとあるんだ」
「ふむ、それで?」
デルキアが話しの先を促した。
ガイウスは笑顔でうなずき、先へ進んだ。
「対してオーディーンは、その境界線が曖昧なんだよ」
「ほう、何処までも続いていると言うのか?」
「そうだなあ、一応ここからここまでっていう区分はあるんだと思う。でも、そんな区分なんて、あってないようなもので、どんどんと家が建って、広がっていってる感じなんだ」
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「ほう、さらにか」
「うん。それというのも、最初に言った都市構造がそもそも違うからなんだよ」
「ふむ、面白い。説明しろ」
ガイウスは大いに笑った。
「わかったよ。ええと……さっきも言った通り、アレキサンドリアは王都だ」
ガイウスが改まって言った。
デルキアは無言でうなずいた。
ガイウスは話しを続けた。
「その都市の基本は、王を守るということなんだ」
デルキアは斜め上を見て、しばらく考えた。
「……当然ではないか。王がいるのならば、王を守るように都市を造るのは」
ガイウスはうなずいた。
「そうだね。デルキアの言う通り、当然だ」
デルキアは無言でうなずいた。
ガイウスは問いかけがないことを確認すると、話しを続けた。
「だけどオーディーンは違うんだ。あそこには王はいない」
「では誰がいる?」
「教皇さ。教皇がいるんだ」
「教皇とはなんだ?」
デルキアの問いに、ガイウスが勿体つけるように間をとって言った。
「ローエングリンの国教、ゼクス教の最高位者さ」
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