「……いない……時間的に彼らの足ではこれ以上遠くへは移動できないはずだが……」
ガイウスは町を出て、街道沿いを上空からかなりの時間探索するも、バッカス兄弟の姿は一向に見当たらなかった。
「……とはいえ途中に分岐点なんて無かったし……」
ガイウスが探している街道は町から一直線に伸びており、左右はただひたすらにだだっ広い草原なため、街道を逸れている可能性は非常に少ないと思えた。
「……となれば……別の街道を行ったということか?……いや店のマスターが指し示したのはこの街道のはずだ。あのマスターが嘘を言ったとも思えないし……どういうことだ?」
ガイウスは街道の上空で自問自答をしたものの、てんで答えは見つからなかった。
「……とりあえず一旦戻るか……」
ガイウスは方針を決めるとすぐさま反転し、オーラを爆発させてタルカの町へと向かった。
ガイウスはものの数分でタルカの町へと戻ってくると、先ほどホテルリードへの道を尋ねた気の良さそうな若者が、今も町の入口付近にいるのを見て急降下した。
「……うわっ!?な、なんだ?……君はさっきの……」
若者は、突如上空から急降下してきたガイウスにひどく驚いたものの、すぐにその顔をみて安堵のため息を漏らした。
「驚かせてしまってすみません。ところでこの入口を十数分前、ひょろりとした細長い目つきの悪い男と二Mはあろうかという巨漢の二人組が通りませんでしたか?」
ガイウスは挨拶もそこそこにバッカス兄弟のことを若者に尋ねた。
すると若者はすぐに思い出し、ガイウスに教えてくれた。
「ああ!通ったね。通ったけど……ほらそこに見えるマンホールあるだろ?その蓋を開けて中へ入って行ったよ」
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若者は、町を取り囲む塀沿いに設置されたマンホールを指差して答えた。
ガイウスは軽く天を仰ぎ、一つ深いため息をついた。
「そういうことか……地下へ潜ったのか、あいつら……」
するとちょうどそこへおっとり刀でカルミスたちが駆けつけてきた。
「地下だ。あのマンホールから地下へ逃げたらしい」
ガイウスはカルミスに対しため息混じりにそう告げた。
するとカルミスも天を仰いでため息を吐いた。
「はあ……一筋縄ではいかない奴らだ……仕方ない手分けして探そう」
「ああ。ところで見張りの連中は……」
「大丈夫。すでに回収済みだ。それに親衛隊員たちはホテルに残してきた。ここにいるのはわたしの直属の部下たちだけだ」
「そうか。それとカルミス、この人に謝礼を。この人がバッカス兄弟が地下へ潜ったことを教えてくれたんだ」
ガイウスの指示にカルミスは頷き、自らの懐を探った。
するとガイウスは、若者に謝礼金を手渡そうとするカルミスの横をすーっと通り過ぎ、バッカス兄弟が地下へと潜ったであろうマンホールに近づいた。
「待っていろよ……すぐに見つけて一発ガツンとやってやるからな!」
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