「裁判長、ありがとうございました」
シェスターは、ロンバルド、オルテスとの三人での打合せを済ませると、弁護人席へと戻る道すがら裁判長へ感謝の言葉を述べた。
「いえ、もう打ち合わせは済みましたか?」
「はい。おかげさまで」
「そうですか。それでは審議を再開したいと思いますが……そちらの新証人の方はそちらの席のままでいいですか?」
裁判長は弁護側席にそのまま座ったオルテスを見て、シェスターに尋ねた。
「はい。アルス氏の尋問はまだ終わっておりませんし、かといって二人を証人席に並べるのもどうかと思いますので、とりあえず証人席には引き続きアルス氏について頂ければと思います」
「そうですか。ではそうしましょうか。検察側それでいいですか?」
裁判長に問われ、コッホルが慌てて答えた。
「は、はい。結構です」
コッホルは言いざま、すぐにレノンの顔色を伺った。
するとレノンはしずかにゆっくりとうなずいたため、コッホルはほっと一安心したのであった。
「それではアルス証人への尋問を再開したいと思います」
裁判長が審理の再開を宣告すると、シェスターが素早く立ち上がって声を上げた。
「裁判長、申し訳ございませんが、その前にこちらの証人を紹介させていただいてもよろしいでしょうか?」
「おお、それもそうですね。よろしくお願いします」
裁判長の了解を得、シェスターは凛とした響きのある声音でもって新証人を紹介するのだった。
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「ご紹介します。こちらの男性は、ローエングリン教皇国第七軍団に所属されていたオルテス・メノス氏です」
シェスターに紹介を受け、オルテスは戸惑い気味に立ち上がった。
そして横をキョロキョロと落ち着きなく見回した後、とりあえずといった感じで軽く会釈をした。
すると裁判長がすぐにオルテスに対して質問をし始めた。
「第七軍団ということはゴルコス将軍の軍に所属……それも過去形でされていた……となると現在は軍を離れていらっしゃるということですか?」
「あ、はい。そうです。六年前に……軍を去りましたので……」
「それは……ゴルコス将軍の死と関係があるのですか?」
「はい。そうです……あっ!いや、別に俺はゴルコスが死んだところで何とも思ってやしませんよ?というかあんな野郎は死んで当然だと思っているし……そうじゃなくて……」
「……そうじゃなくて……なんでしょう?」
「……そのゴルコスには親衛隊があるんだけど……その親衛隊に俺の弟がいたんです」
「……ほう、弟さんが」
「はい。名前はコリンって言うんですけど……」
するとその名がオルテスの口から放たれた瞬間、証人席に座るアルスの目がこれ以上ないというくらいに大きく見開かれ、口はあんぐりと惚けたように開かれた。
シェスターはその瞬間をしっかりと目撃すると、さらにアルスの先に位置するレノンの顔を覗き見た。
レノンは口こそ固く引き結ばれていたものの、アルス同様その目は大きく見開かれていたのだった。
シェスターは二人のその様を確認すると、静かに口角を上げてにやりと笑ったのであった。
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