「ありましたね!?」
アジオが勢い込んでシェスターへ告げた。
シェスターはアジオに向かって軽く片目を瞑ると、勇躍として地下へと続く階段を下りていった。
するとその後を俊敏な動きでもってアジオが追い、さらにコメットが少し躊躇した様子を見せたものの、バルトに背中を押されるようにして二人で一緒に地下へと飛び込んでいった。
そしてそんなコメットの相変わらずな様子を見てトランが苦笑を漏らしながら続き、最後にロデムルが辺りの様子を伺いながら滑るような流麗な動きで階段を下りていった。
すると階段の途中でロデムルがすっと立ち止まった。
ロデムルは階段を半ばまで降りた状態から女神像を動かし、元の場所へと戻して地下へ侵入した形跡を消そうと試みたのだった。
「どうかなロデムル?閉められるか?」
シェスターがロデムルの行動を見守りつつ尋ねた。
すると突如として女神像は滑らかに動き出し、先程の位置へと見事にピタリと収まったのであった。
しかしそこでシェスターがある異変に気付いた。
「おかしいぞ?像を戻したというのにこの明るさはなんなんだ?」
するとロデムルがすかさず周囲を鋭い視線で見回しつつ答えた。
「……どうやら女神像の目から取り込んだわずかな光を、壁に埋め込まれた沢山のガラスが増幅しているようです」
するとアジオがひどく感心したように言った。
「……これか……凄いな……これ目玉の材質と同じものですかね?……それにしても女神像の中身が空洞だった理由はこれもあったんですねえ?……」
シェスターは静かにうなずき、答えた。
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「どうやらそのようだ。だがそれにしてもあんなほんのわずかな光源だけでこれだけ明るく照らすとは……この物質は一体なんなのだ?……」
「どうです?一つ削って持ち帰るっていうのは?これだけ沢山埋め込まれていれば、一つくらい持ち帰ったところでバレないと思いますよ?」
するとアジオの進言をシェスターが肯定した。
「そうだな。そうすることにしようか。本国に持ち帰って調べればこのガラスの分析が出来るかもしれないからな」
「では早速……」
言うや最後尾のロデムルが懐から小刀を取り出し、素早い動きで壁に埋め込まれたガラスの一片を器用に切り出した。
「採取、完了致しました」
ロデムルが小刀を懐に仕舞いつつそう言うと、シェスターが大きく首を振ってうなずいた。
「よし。では出発……と言いたいところだが、さてどちらへ進むべきか……」
シェスターの言う通り、地下道は彼らが降り立ったところから二方向に向かって伸びていた。
「……方角的にはこちらを進めばタルカの町へと行きそうですがね?」
アジオが一方向を指さしながら言うと、シェスターが大きくうなずいた。
「よし。ではこちらへ向かうとしよう。だが幸いにして明るいとはいえ、皆十分に気をつけて進んでくれ。いいな?」
シェスターが皆の顔を一人ずつ見回しながら言った。
すると皆大いにうなずき、それぞれ思い思いに声を発して応じた。
するとそれを聞いてシェスターが満足したような顔を浮かべた。
そしてすぐさま踵を返して地下道を確かな足取りで進むのであった。
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