1
「さて……ではまた地下道を散策するとしますか?」
話しに一区切りがついたとばかりにアジオがサッと提案した。
するとシェスターはうなずき、その意見にすかさず賛同した。
「そうだな。他の町のどの建物に通じているか調べよう。それに地下水路と結合していないかも調査しないとな。ではグレン、引き続き各古文書の解読を頼む」
シェスターはそう言ってグレンの肩をポンと叩いた。
グレンは軽くうなずき、微笑を浮かべた。
「はい。どうぞお気をつけて」
「ああ、ではな」
シェスターはそう言い残すと歩き出し、壁の向こうの階段を静かに降りていった。
それにアジオたちも続き、最後にロデムルがグレンに一礼して壁を閉じた。
「……ふう。驚いた。こんなところに隠し扉があるなんて……いやまてよ?もしかしたら他にもこの建物には秘密があったりして……そんなことはないか」
グレンはそう独り言ちると、手元の古文書を静かに閉じるのであった。
2
「……さて、鬼が出るか蛇が出るか……次の町が楽しみですね?」
アジオに振られ、シェスターが苦笑いを浮かべつつ答えた。
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「出来ればどちらにも出てきて欲しくはないな。それに、次の町へたどり着く前に是非とも地下水路へと繋がる結合部を見つけたいものだ」
「ああ、そうでしたね。ところでその地下水路への結合部が見つかったとして……潜るおつもりですか?」
するとシェスターが大きくかぶりを振った。
「いや、それはしない。今はまだ見つけるだけでいい」
するとアジオが軽くうなずいた。
「ですね。とりあえずは発見するだけして…………その後どうします?」
アジオが本当に考えあぐねてシェスターへ問うた。
「……ああ、こればかりはまだ決めかねている。なにせガイウス君が消え、アルスたちも消息を絶った場所だ。それにその方法が本当にオーガ神の究極魔法によるものだとするのならば……カルラ様やエル様をも消し去った魔法ということになる。ならば……到底人智の及ぶところではないということになるしな……」
「……ですね……というかさっきの話し……本当なんですか?あまりにも稀有壮大な話しでしたけど……」
「わたしは伝承というものは大分誇張されて伝わっていると思っている。だがそれは裏を返せばそこには小さいながらも真実があるということだ。だからオーガ神の究極魔法の威力が先程グレンが説明したほどの凄まじいものであるとは正直わたしは思ってはいない。だがまったくの作り話とも思ってはいないのだ」
「伝承にはモデルとなる話しがあり、それが後世に伝わる際には誇張されて伝わる……ということですね?」
「うむ。だからわたしはオーガ神の究極魔法はあると思っている。ただ名称や規模が違うだけでな」
「……そしてそれが地下水路に……」
「……ああ、おそらくな……」
シェスターは低く静かな声音でもってそう呟くと、すーっと目を細めて前方を睨みつけるのであった。
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