そろりそろりと敵の地下アジトを進むシェスターであったが、前方を良く目を凝らして見ると大変に広い空間が広がっていることに気が付いた。
「どういうことだ?なぜ建物の地下にこんな広い空間があるのだろう?」
シェスターの驚きを含んだ呟きを聞き、ロンバルドもまた自らの前方を目を凝らして見ると、たしかに建物の大きさに比してあまりにも巨大な空間が広がっていることに気付いた。
「……確かにあの建物にはそぐわない広さだな……」
ロンバルドの苦しそうな呟きにシェスターが心配そうな顔で振り向いた。
「副長官、先程より声が悪化しているような……しばらくは出来る限りではなく、よほどのことがない限り喋らない方が良いのでは?」
するとロンバルドが喉を苦しそうに押さえながら深くうなずいた。
するとシェスターもそれを見て深くうなずき返した。
「では副長官、黙ってわたしの考えを聞いてください。どうもこの地下空間は急場の間に合わせで掘り出しものと思われます。と言いますのもよく目を凝らして見ますと、ほら、ここに建物の土台を支える支柱があります」
シェスターはそう言うと自らの左手で大きな太い支柱をパンパンと叩いた。
You are reading story Reincarnation Monarch at novel35.com
「ですがこの支柱にはこれこのとおり、土がびっしりと付いております」
シェスターはそう言って自らの土で汚れた左手をロンバルドに見せた。
「つまりこの空間は建物を建てた後に掘り返して造った物だと判ります。なぜかと言えば最初から広い地下空間を造り、その上に建物を建てたとしたらこの支柱に土がこびりついている訳がないからです。それに先程から我々が踏みしめているこの地面ですが、これも同じく土です。通常建物の地下は、いくら地下とはいえ整地して床を設置するもの。ですがここはデコボコの土に過ぎません。つまり、以上の二点からこの地下空間は急場凌ぎで造られたものだということが判るというわけです」
シェスターの推測にロンバルドは無言でうなずいた。
シェスターはそれを確認するとさらに長広舌を続けるのであった。
「ではいつこの地下空間は造られたのかという疑問ですが、おそらくはつい最近のことだと思われます。
と言いますのもこの地面はデコボコの上とても柔らかいからです。もしここが造られてからある程度の時間が経過していた場合、ここを通る者らによって踏み固められているはずです。ですがここはそうなってはおりません。無論、だいぶ前に造ってよりしばらくこの地下が無人であった可能性もなくはありませんが、これだけ急場凌ぎで造った後に放置するというのはやはり考え難いかと思われます。よってこの広大な空間はごく最近大慌てで造られたものだと思われます」
ロンバルドはシェスターの長広舌を聴き終えると再び大きくうなずいた。
するとシェスターはまたも大きくうなずき、ついに結論を語りだすのであった。
「では何のためにこの様な広大な地下空間を造ったかと言えばですが……これはもうあれしかないでしょうね。つまりは……千年竜。この地下空間は何らかの目的によって千年竜を発動させるためのものだとわたしは愚考いたします」
You can find story with these keywords:
Reincarnation Monarch,
Read Reincarnation Monarch,
Reincarnation Monarch novel,
Reincarnation Monarch book,
Reincarnation Monarch story,
Reincarnation Monarch full,
Reincarnation Monarch Latest Chapter