「ふむ。そういう割には慌てているように見えるが?」
シェスターの問いに、アジオが空とぼけた。
「え?そうですか?そんなことはないと思うんですけどね~……」
シェスターは怪しみながらも、ここでこれ以上押し問答しても埒があかないと思い、話しを先に進めることとした。
「そうか、それならばいい。それで分配の話しがどうかしたのか?」
シェスターが話しを変えて先へ進めたことに対して、アジオが少しほっとしたような表情を浮かべた。
「あ、はい。そのう、先程四人目が見つかった場合、四等分とするのが良いのではないかという話しになりましたが……」
「ああ、そうだな。だがそれも四人目を見つけ出せたらの話しだという条件付きだがな?」
「はいはい。その条件を満たして四人目を見つけた場合ですが、本当に四等分が妥当だと思われますか?」
「うん?何を言っているんだ?四人目が見つかったならば、四等分が妥当に決まっているではないか」
するとアジオが暗く深い眼差しをシェスターへ向けつつ、低くくぐもった声で言ったのだった。
「……母親が被差別民でも……ですか?……」
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するとシェスターが合点がいったとばかりに、何度も相づちを打った。
「……なるほどな。どうもおかしな物言いをすると思っていたが、そういうことか」
「はい。実際どう思いますか?シェスターさん」
するとシェスターが大きく肩をすくめた。
「当然四等分だ。母親が被差別民であろうが何であろうが、そんなことは関係ない。それが理由で取り分が減らされるなんてことがあっていいわけがないからな」
だがアジオは暗く深い眼差しはそのままに、さらにシェスターへと問いかけた。
「確かに貴方はそう仰るでしょう。ですが貴方は相続人ではありません。三等分であろうが、四等分であろうが、ご自分の腹は痛みませんよね?ですが、彼ら三人はどうでしょうか?彼らにしてみれば自分の取り分が減らされる訳でしょう?それも被差別民の息子の為にです。それで彼らは……果たして本当に納得すると思われますか?……」
するとシェスターが目を細め、腕を組んで考え込んだ。
そしてしばらくの後、シェスターは目を見開いて決意の程を語るのであった。
「わたしが納得させよう。わたしはすでにこの遺産問題の調停者のつもりだ。だからわたしが責任を持って彼らを説得しよう」
シェスターは、かなり強めの口調でもってはっきりと断言した。
それは、この問題に積極的に関わるというシェスターなりの宣言であり、アジオはその宣言を引き出せたことに満足したのか、大きくうなずくのであった。
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