「つまり……貴方の想像は当たっている可能性が高いということですね?」
メルバの問いに、シェスターがうなずいた。
「おそらくな……」
するとメルバがさらに表情を引き締めた。
「先程貴方は時が止まるという概念をつい先日得た……と仰っていたかと思うのですが?」
「ああ、その通りだ」
「そうですか。ではどうでしょう。なぜつい先日にその様な突拍子もない概念を得ることになったのか、教えて頂けませんか?おそらくは何らかの出来事があったのではないかとわたしは思っているのですが……」
するとアジオが我慢できないとばかりに口を挟んできた。
「何らかの出来事ですか?その出来事を体験したからシェスターさんは時が止まるという概念を得ることが出来たというわけですね?」
「そう。でないと中々そういった概念を獲得出来るとは思えないのでね」
するとシェスターが厳しい表情のまま、その重い口を仕方なさそうに開いたのであった。
「わかった。話そう……」
シェスターはそう言うと、先日のガイウスとの邂逅をかいつまんで皆に説明した。
するとそれを聞き終えたアジオが開口一番質問をした。
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「……その話しが夢ではなく真実だとして、そのガイウス君が閉じ込められている空間は、時の流れが速いってことですよね?時が止まっている訳ではなく」
するとシェスターがうなずいた。
「ああ、その通りだ。だが時が加速する空間があるのならば、時が止まる空間もあるのではないかと思ってな」
「時が遅い空間ではなくですか?」
「それだと塵一つ落ちていないことの説明がつかないだろう。いくら時の流れが遅かろうが、数年が数日となったとしても埃くらいは多少なりとも溜まっているはずだ。だが何処をどう見ても今朝方掃除したばかりのように綺麗になっている。となれば遅いのではなく、止まっていると考えるのが適当だろう。もっとも実際は完全に止まっているのではなく、限りなく遅くて止まっているようにしか認識出来ないだけかもしれないがな」
すると二の句が継げないでしるアジオに代わり、メルバが慎重に考え考えしながら言った。
「それで、我々は一体この先どうなるのでしょうか?この時が止まった別荘内に閉じ込められて、今後どの様な事態が起こりうるとお考えですか?」
するとシェスターが目を瞑り、腕を組んで考え込んだ。
「おそらくは……何も起きんだろうな……」
「何も……ですか?」
「ああ、残念ながらな。いや、あるとすれば教皇の手の者がこの別荘に侵入してくるケースか……」
「なるほど。我らがこの別荘に入れたように、教皇配下の者たちもここに入って来れない理由はありませんからね」
するとこれに、シェスターが大いにうなずいた。
「……ああ、そういうことだ……」
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