「本物だというからには、古代文字の解読以外の論拠があるということだな?」
ガイウスは大きくうなずき、答えた。
「ああ、透視しようとしたんだよ」
するとカルラがスーッと目を細めた。
「……ほう。そんな魔法を使えるようになったのかい?」
「まあね……昔の記憶が大分戻ってきたんだよ。その中に……ね」
「ふむ、そうかい。それ故に伝説の大魔導師かい」
「いやいやいやいや、そういう訳では……もう勘弁してよ……」
するとカルラがふっと笑った。
「……それで、続きは?」
ガイウスは居住いを正して改めて説明を再開した。
「ああ、それで覗いて見たんだけど……とんでもなくやばい奴がガード魔法をかけていたんだよ」
「……ほう。やばい奴か……ということは見知っている者というわけだな?」
「……ああ、そういうことになるね……」
ガイウスはそう言うと、途端に凶悪な面相となった。
するとカルラがそれを見て、さらに眉間に皺を寄せた。
「……して、それは誰のこと何だい?」
カルラの問いに、ガイウスが一度歯をギュッと力強く噛みしめてから答えた。
「……ルキフェルさ……」
するとカルラがまたも驚愕の表情となった。
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「……ルキフェルだと?本当か?……」
「ああ、本当だ。間違いないよ」
「ガイウス、お前は先程、棺にガード魔法を掛けた者を見知っていると言ったな?」
「ああ、言ったね」
「尋ねる。しかと答えよ」
カルラはそこで一旦言葉を切り、大きく息を吐き出してから改めて続けた。
「お前はルキフェルを見知っているというのか?」
するとガイウスが大きく首を縦に振った。
「ああ、俺はルキフェルを見知っている」
ガイウスの回答に、さすがのカルラが息を呑んだ。
「……それは前世の記憶の中に……という意味か?」
「そう。遙か以前の記憶に……ね」
「そうか。では同じ天界の神であるイリスの顔も見知っているのか?」
するとガイウスは、今度は首を大きく横に振った。
「いや、イリスの顔は知らないし、他の神々の顔も知らないよ。知っているのはルキフェルだけさ」
「……そうか、では透視が出来たとしても、それがイリスかどうかは本当のところは判らないということか?」
「そう。本人かどうかは確認のしようがないね。だけど実は、透視は半分成功していてね。ガード魔法によって多少痛い目には会ったけど、おぼろげながら中が見えたんだよ」
「ほう……で、何が見えた?」
「……女さ。間違いなく女が中に横たわっているのが見えた」
ガイウスはそう言って目をスーッと細めるのであった。
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